クールビズ=ネクタイさえ外せばいい、というのは明らかな誤解です。いま、クールビズの成功の要因はそのファッション性にあるとお話ししましたが、涼しいという意味だけでなく、かつこいい・洗練されているという意味でも「クール」でなければ、本当のクールビズとはいえないのです。ネクタイをした通常のスーツスタイルと、ノーネクタイのクールビズでは、コーディネートのポイントは自ずと異なります。単にネクタイを外して、飲み会帰りのサラリーマンのような雰囲気になってしまうのは、そのポイントをご存知ないからかもしれませんね。あなたもクールビズの成功のポイントを学んで、本当にクールなビジネスマンになりましょう。服装は人を決めるのです。
コムデギャルソンのワンピース。普段着に、と思って買ったら何の何の、素敵でもっぱら外出着にしている。上からジャケットやカーディガンを羽織れば、何かと着こなしやすい。探せばこんなふうに着られるものがある、というのが嬉しい発見だ。アニエスbなどのシンプルで、オーソドックスなデザインのものには、必ずそんな服があるのだけど、コムデギャルソンとなると、私みたいなおばさんが着たら服が可哀相、と変に遠慮していたものである。「このスカートどうかな、お母さんに」トレーナー地をパッチワークしたギャザースカートを腰に当てて娘にきいた。「お母さん、それを着る気?」呆れ顔の娘は正直な鏡だ。やはり、いくら夏服だ、普段着だといっても限度があるということなのね。どれもこれも、という訳にはいかないけれど、年齢を越えて着こなせる服、リーズナブルで肩の力を抜いて着こなせる心地よい服を見直してみたい。どこか上質なものを加え、イキイキとした動き、そんなもので自分を近付けてみてはいかがでしょうか。何か視線が広がったような、そんな気になれるのです。
クラシコーイタリアが、今やひとつの伝統になってしまったとすれば、これにさらにオリジナリティを加えて新しいスーツを提唱する日本人のテイラーもいる。たとえば、船橋幸彦氏である。「本場」サヴィルーローで修業を積む、というのはよく聞く話だが、船橋氏はサヴィルの服作りに理想とのギャ。プを感じてイタリアへ渡り、ローマ最高の仕立屋カラチェニに弟子入りし、ついにイタリアに自分のサルトリアを開くまでに成功した。あのフェリーニ監督の背広も任されていたという人である。彼が『NAVI』誌(一九九九年十月)のインタビューで話す、理想の服を作るイタリア式針づかいとは、次のようなもの。「甘く、やさしく。ドルチェ、ドルチェ、ピアーノ、ピアーノ」。人間のいい手で「甘く、やさしく」針をさすと、刺されたあとの糸に遊びがあって、生地がつれずにゆとりをもつのだそうだ。船橋氏の作るスーツを見ると、ほかのクラシコーイタリアのスーツともまた一味違う印象である。着る人の身体に吸いついているかのような柔らかな感じを放っていて、思わず生地に触れてみたくなる。サヴィルーローの武装感みなぎるスーツの対極にあるような、やさしげでナチュラルなスーツである。
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